津野建築設計室

             

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5つの屋根の三軒長屋

オーナー住戸+賃貸2戸の三軒長屋の計画です.
周辺は風致地区指定の環境の良い住宅地で,規定による隣棟間隔が大きいため,緑豊かな中,道路側のファサードだけでなく,家の側面が並んで見えるような,彫りの深い街並みが特徴的なエリアですが,周辺で進み始めているマンションの低層ながら長大な壁が,彫りの深い街並みをのっぺりと伸ばしてしまっていました.
今回のプロジェクトは長屋ではありますが,代々ここに居を構える個人のクライアントで,既存の街並みへの愛着を強くお持ちの方だったこともあり,この地にふさわしい建ち方として,建築の側面や屋根が重なるように連続していく雁行型を提案しました.
5つの高さも幅も異なる切妻屋根を載せた棟を雁行して配置し,その雁行を強調するようにオープンなアプローチと,緑豊かなセミクローズな庭が交互に配置されています.
また,5棟は住戸の別に関わらず,個室群-LDK-水回り-LDK-個室群の構成となっており,2つのLDKの棟には南北に抜ける大きな窓と専用庭を配しました.また,水回りを一棟に集約することで,長屋内の音の問題に配慮しつつ,南北の植栽庭と配管が干渉しないよう配慮しました.
住戸間の騒音対策と重量軽減のため,1階をRC造・2階を木造とし,1階外装を外断熱左官・2階外装を板金縦ハゼの外壁・屋根として,構造形式を外観にも表出させることで,適度に分割されて陰影のある外観を実現しました.
 
用  途:長屋
工事種別:新築
構  造:RC造一部木造
延床面積:257.56sqm
設計期間:2020.05-2021.05
施工期間:2021.06-2022.04
撮  影:西川公朗